《今日の主な登場人物紹介》


土志田(どしだ)よね…この物語の主人公。土志田家次女。朝美台(あさみだい)尋常小学校5年生。まだ自分にもわからない未知の能力を秘めている切れ長の目を持つ10歳の女の子。


音羽 時次郎 …23歳の時代劇若手スター。朝美台小の「演劇学」講師となる。秘密の過去を持つ。


山村 サチ …よねの同級生。インテリ眼鏡で冷静沈着。いつも低音で論理的に喋る。




   みんなの反応にはお構いなしに、垂れてきた前髪をサッと頭を振って直しながら、時次郎は話し始めた。



「この間の『難攻不落の演劇学』の話は分かったかな?」

   そう聞かれても……と、みんなはお互いに顔を見合わせて困った顔をしている。


「黄金バット」への子役出演の発表があると期待していた発表ある派の生徒たちは、こんな話から始まるようじゃ発表はないわ、とでもいうようなガッカリした表情をしていたし、発表ない派を主張していた生徒たちも、結局まともな授業をするの?  とでも言いたげにしょんぼりした顔をしている。

   但し、眼鏡をかけた1名の女生徒を除いてだが……。


   みんなは、音羽時次郎の映画の話が聞きたいのだ。そんなこととは露知らず、時次郎は真面目に授業を進め始めた。


「……プラトンの『演劇否定論』とそれに対するアリストテレスの『詩学』による反論は、大体わかったと思うんだ……あっ、いやいや、思います」


   こんな時次郎の言葉に、サチだけが「うん、うん」と頭を縦に振っていた。

「では、今日はそれに対して、一つの答えを導き出してみよう!  はいっ!  教科書『演劇的生命体がゆく』の28㌻を開いて!」


(あれ~っ、音羽先生!  さっき言ってたユーモアが全然入ってないよ~)と叫びたい衝動をよねは抑えつつ、教科書をめくった。

   よねは、あまり「演劇」には興味がなかったので、この教科書を開いて見るのは初めてだ。


   開いてみて意外に思ったのは、絵が多いということだ。日本の伝統的な歌舞伎役者やたっぷりと口ひげを蓄えた腕組みをして貫禄のある外人もいた。


「この前は、プラトンが『演劇は単に我々の生活を模倣しているだけではないか!』つまり『我々の生活の延長線上にある物語を、ただ舞台化したものではないか!』と言っていることを説明しました。


   ……この説に対して、アリストテレスは何と反論したかな?  はい、説明できる人!」と時次郎は早くも額に浮かんできた汗を拭って、みんなに答えを求めた。


   よねは焦った。そんなこと覚えているわけがない。(どうか、指されませんように……)と心で祈る以外なかったが、そんなこと、ただの取り越し苦労であることがすぐにわかった。時次郎の質問に対して、真っ先に手を挙げて答えている生徒がいる。もちろんサチだ。


「はい!  ……模倣は人間の本性なのだから、人間は模倣されたものに喜びを感じる、と反論しました」


「そう、その通り!  『模倣は人間の本性!』と言ったんだね。じゃあ、何で模倣が人間の本性になるんだろう?   今日は、ここの所を勉強してみよう。


   では、先ほど開いた28㌻を見てごらん。……ここに『ニコライ・エヴレイノフについて』と書いてある。この人は、ロシアの劇場人なのだけど、すごい人なんだ。


   このエヴレイノフは『劇作家・俳優・演出家』であると同時に『曲芸師・笛吹き・作曲家・小説家・歴史家・画家』であり『心理学者・生物学者・考古学者・哲学者』でもあるんだよ。……どうだい!  すごいだろう?」


(うーん、いろいろな職業をした人なのかしら?  まあ、とにかくすごいわ)よねは、とりあえず納得した。


「では、次のページをめくって!」

先生の言われるまま、29㌻を開くと、そこには、天を見上げている、変な男の人の白黒写真が載っている。その男は、目を見開きながら、両手で自分の洋服の胸元を肌けている。ちょっと、異様な感じのする人だ。


「この写真の人が、エヴレイノフです。ちょうど、シェークスピアの『ベニスの商人』を演じている所かな。彼が、アリストテレスの言っていた『模倣は人間の本性』という問題を『模倣は動物の本性』という観点から、すごくわかりやすく説明しているのでちょっとお話しましょう」


   時次郎はそう言うなり、ラメの上着をフワッと教卓の上に置いた。そして、両手の肘を曲げ、拳を軽く握って耳たぶから頭にかけて撫で回す格好をしはじめた。それはまるで、猫のような仕草であった。


   これから一体、時次郎は何を話そうというのだろう❓




ワカバよもやまコーナー

(137)


   ご好評につき…(勝手にワカバが思ってます)父の怪獣図鑑だよ〜笑  

   今日は2冊ですぅ…まずはこちら〜⬇️

   わぁ〜、口が大きい〜𐤔𐤔𐤔𐤔


   あっ、この宇宙人…知ってるダダ‼️


   この図鑑に掲載されていた白黒写真〜‼️


   あっ‼️ザラブ星人ってシンウルトラマンで見たよ✨


   ⬇️ これは図鑑表記がないよね〜…❓

   右下に「怪獣百科」って書いてあるけど…


   ラドンって、ゴジラのハリウッド版で見たぁ


   ミニラ❓って思ったら、ゴジラの息子だって…爆笑🤣


   「怪獣図鑑」を父が持っていることは知っていても、内容は見た記憶が無くて…小さい時に、引っ張り出して見ていたらしいのですが…😅

   そこで、父に協力してもらい怪獣の人形と照らし合わせる事にしました(父曰く、人形ではなく、ソフビとの事…別に何でもいいじゃん 笑)


   出てきたのが、このミニラ ⬇️

   カ、カラダが赤い〜笑


   ゴジラのソフビと並べたら、息子の方がデカイ〜ププ━(〃>З<)━ッッ!!!


   ・:*ゞ(∇≦* )ぎゃはは




   あまりにワカバが笑うので、父が他のゴジラを出してきましたが結果は同じ〜

アヒャヒャヒャヽ(´>∀<`*)ノアヒャヒャヒャ!!

   このゴジラは「モスゴジ」とか言ってました…「モスラ対ゴジラ」に出たゴジラだからって…分からん😅


   ワカバの笑いが止まらず、とうとう父がずるい奥の手…だと思います💦

   ベビーゴジラというのを、出してきました

   あっ‼️確かにこの子なら子供に見えるわ…でも、ミニラじゃないでしょ、コレ⬆️



   上記の本は「朝日新聞出版社(朝日ソノラマ)」さんに、ブログ掲載許可を戴きました👌



第29章「こうもり人間・誕生」①  へつづく


(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)