今回は神経締めの話です
長くなるので3回に分けて書きます
信じる信じないは兎も角、一つの意見として見て頂けたら幸いです 

自分は全く神経締めしない派です 

でも神経締めの道具は持ってます 

所で神経締めをする理由はなんですか?
死後硬直を防ぐ為 

熟成して美味しく食べる為 

何となくした方が良い気がする 

等などですかね?
答えを先に書くと
賞味期限を最大限伸ばす為です 

つまり経済活動的事情の為とでも言いますかね 

大人の事情って奴ですね 

まぁ 企業にとっては切実な話ではありますが一般の釣り人にはあまり関係無いですね 

むしろスーパーでは早めに半額シール貼って欲しい 

ですが一般の自分達が美味しく食べるためでもありますので、その根拠を見ていきましょう! 

*鰤類の釣り魚をモデルにした前提です
(尚、間違ってたら訂正加筆していきますね!) 

目次
- その壱・なぜ神経締めで賞味期限が伸びるのか?
- その弐・旨味成分への変化と鮮度
- その参・食感(テクスチャー)
- その壱・なぜ神経締めで賞味期限が伸びるのか
全ての答えはATP(アデノシン三リン酸)にあります。
ATPそれはエヴァンゲリオンで言うS2機関
自己完結型のエネルギーとでも言いましょうか?
生物が宇宙の法則に逆らって子孫を残す事が出来たシステム
それがATPです
つまり息を吸ったり食べ物を食べたりして生み出される循環型のエネルギー源ですね
字幕ですが何となく分かり易いYouTubeはこちら
字幕ON(日本語選択)でご覧ください
ATPを作る流れはこちら 日本語です
魚(生物)は死後ATPが変化して最終的には腐敗するのですがその過程は
アデノシン三リン酸(ATP)→アデノシンニリン酸(ADP)→アデニル酸(AMP)→イノシン酸(IMP)→イノシン(HxR)→ヒポキサンチン(Hx)
なんとなくそれっぽい画像をひらってきた 

ざっくりしかわからないのでざっくり書くと
生物は自身のATPからエネルギーを放出して身体を動かしてADPとなり、息や食事で足りないリンを補給してまたATPとなる
ATP→ADP→ATPと繰り返してエネルギーを充填して休むことなく身体を動かせるシステム
成人男子が1日分のエネルギーとして摂取した2000キロカロリーのうち、
半分の1000キロカロリーがATPの合成に消費されます
これは重さに換算すると、およそ50kgにもなり、体重分ほどの量のATPを毎日合成していることになります
- 死後のATPの変化
では死ぬとどうなるか?
時間と共にATPからADPに変化して、そしてAMPとなり次にIMPと変化する
このIMPがイノシン酸 旨味成分で熟成と呼ばれる段階です
上の表のようにIMPの次はHxRとなり
最後はHx=腐敗となり土に帰る
と本来なら無駄の無い自己完結型
実際にはイノシン(HxR)の状態では味の変化は無いようで、しかも臭って解るレベルでは無いようですが確実に腐敗の成分に変化しているので注意が必要です
どんなに好条件で死を迎えたとしても魚が持つ絶対的なATPの総量は変わりません
神経締めをしたらからと言ってATPは増えません
但し神経締めで死後硬直や神経痙攣を抑える事によりATPからADPへの変化を防ぎ
ATPの容量を増やす事で結果として腐敗を遅らせる事が出来る
つまりどんな条件の個体でも熟成はする(IMPになる段階がある)が
神経締めにより熟成を遅らせる事(IMPに到達する時間を遅らせる)が出来る可能性があるという事です
ここで言う可能性と言うのはある懸念が存在するからです
それは、神経締めを行った時に神経の破壊により爆発的なATPの消費を引き起こし神経締めをしない方がATPの残留が多くなるかも?と言う問題です
以前実際にデータを見たのですが探し当てる事が出来ませんでしたが衝撃的な数字でATPが無くなってました
確実なデータがある訳では無くいので可能性と言うことです
釣り人が魚を一番良い状態にする(ATPの残量を一番残す)方法は
暴れささず釣り上げ、優しく生簀に入れて1~2日程養生させてATPの回復を図り
優しく生簀から出して素早く絞め、鰓切り血抜きして
商用なら神経締め、家庭用なら水氷(海水1:氷3)塩分濃度1~2%以内(浸透圧防止の為)で保存
これくらいが釣り人が出来る事では無いでしょうか?
でも実際の遊漁船の釣りの現場では、魚は釣り上げるまでに暴れ、生きるか死ぬかの攻防でATPを使い果たし
乳酸も出しまくり、そして釣り上げられてからも船上で転がされ暴れて、
締めるのも上手に瞬殺出来れば良いけど、そうでない人が大半(それが普通)
完璧な締め等素人では無理(以下の過去記事参照)
そんな状態なのでATPの残量は、ほぼ望めずADPに変化して死を迎える
ADPに変化が進行している以上、神経締めをしてもその効果のあるATPが存在しないので無意味であると考えています
ですので自分は神経締めはしません
余談ですが釣りの時にフッキングで思い切り合わせを入れて脳震盪をおこさせる事が出来れば
魚は気を失っているので暴れなく体力を使っては無い
なのでATPはその時点でのマックスのまま?と言うことは養生しなくても良いのでは?
物騒な釣法ですがキャスティング時には脳震盪はよくありますね
また温度管理も賞味期限を伸ばす重要なファクターですが今回は神経締めがメインなので割愛しますが
締め直後は2度で保存して素早く深度体温を下げ、後に5度にて保存がベターの様です(鰤類の場合)
研究熱心な漁業組合等では深度体温を素早く下げる効果のあるスラリー氷を採用してる所もありますね
愛媛で言えば日戻り鰹(びやびや鰹)で有名な愛南の深浦漁港等で使用されています
びやびや鰹は最高に美味い鰹です
では、神経締めでどれくらいの時間腐敗を遅らせる事が出来るのか?
その弐に続く....
頑張って書きますので少々お時間ください 
