【 誰に見られなくとも 】

 

ここは、今治と松山をつなぐ山道。

ショートカットとして使う人が多くて、

車はただ通り過ぎていく道。

 

 

 

 

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誰も足を止めないその道端に、

チューリップが、ひっそり咲いていた。

 

 

 

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玉川は、

日照時間の少ない山あいの土地。

 

 

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でも、彼らは堂々と、

静かに咲き誇っていた。

 

 

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そんな姿にふと、

“誰にも気づかれなくても、

真っ直ぐに生きている人”を重ねた。

 

 

 

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人もまた、花のように咲く。

見られるためではなく、自分のために。

 

 

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たとえ誰の視界にも映らなくても、

その美しさは、

確かにこの世界を照らしている。

 

 

 

 

 

 

 

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■富永喜代プロフィール
ーーーーーーーーーーーーーー
　
医療法人TMC(Tominaga Medical Communication)理事長。

富永ペインクリニック院長。医学博士。産業医。

 

 

 

465gの赤ちゃんから104歳の高齢者、

FIFA日本サッカー代表などのプロアスリート選手など、

（通常１日2人のところ）１日平均12人、

2万人超の臨床麻酔実績を持つ。

　

 

 

YouTube 総再生回数　7000万回突破。

ﾁｬﾝﾈﾙ登録者数　29万人。

SNS総フォロワー数　44万人。

 

 

 

 

経済産業省

『平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業』を

委託されるなど、痛み最新医療のリーダーとして

注目されている。

確かな腕とユニークなキャラクターが人気を呼び、
NHK「おはよう日本」
TBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」、
などのテレビ出演多数。
　　

 

肩こり改善メソッドの処女作
「こりトレ」(文藝春秋)は10万部など、

累計 9８ 万部の著者である。
　

 

 

◆　100万部　ミリオンセラー作家　富永喜代　公式ホームページ　　→　こちら

 

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【 一瞬に咲く 】

 

今年は、たくさんの花を

見ることができました。

 

 

 

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杏子も、桜も、白い椿も黄色いミモザも、

それぞれに違う場所で、

違う表情で咲いていました。

 

 

.

春はうつろい。

 

 

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どれも同じ春に咲いているはずなのに、

たった一週間、

タイミングがずれるだけで、

見える景色はまるで変わってしまいます。

 

 

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咲きはじめの気配。

満開の華やぎ。

そして、散り際の静けさ。

 

 

 

 

 

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どの瞬間も、

誰かにとっての“ちょうど”で、

けれど、それはあまりにも短く、

はかないものです。

 

 

.

今年は、そのほんの一瞬に、

私は立ち会うことができました。

 

 

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咲いて、

散っていく花たちを目の前にして、

「去年は散り際だったけど。

　今年は満開で会えてうれしいわ。

 

 

.

　ああ、私も今、生きているのね。」と、

心からそう実感したのです。

 

 

 

 

 

 

.

季節はめぐりますが、

一期一会、

同じ春は、二度と来ません。

 

 

.

だからこそ、

いま出会えたこの景色に、

ありがとうと伝えたくなりました。

 

 

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命のはかなさと美しさに触れる春。

女医の日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

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【80歳、ネイルに込めた想い】

 

 

「私も、綺麗なネイルをしてみたいんです」

 

 

 

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昨年12月。

ヘバーデン結節で来院された80代の女性です。

指先の第一関節は赤く腫れ、

動かすだけでズキズキと痛む状態でした。

 

 

.

痛みで交感神経が活性化し、

さらに指先の血管を収縮させ、

血流低下から指先はキンキンに冷たい。

 

 

.

冬場で、末梢の血流はさらに悪化し、

指は動かす臓器だから、指先は常に

慢性的な酸素、栄養、蛋白質不足の状態です。

 

 

.

その結果、

栄養不足の爪は割れ、

層が剥がれ、変形してしまっていました。

 

 

.

でも――

治療を始めて3ヶ月。

 

 

.

マッサージと内服治療を継続して、

「じっとしていても痛い」痛みは消え、

指の動きもスムーズに。

 

 

.

むくみも引いて、

彼女本来の手が少しずつ戻ってきました。

 

 

.

それでも彼女の目に映るのは

「爪の弱さ」でした。

 

 

.

「お嫁さんみたいなネイル、

してみたいんですけど...ダメですかね？」

 

 

.

その声には、

何年も“我慢するのが当たり前”だった

日々がにじんでいた。

 

 

.

――ダメなわけ、ありません。

「痛みが取れて血流も回復してきたから、

ほら、根元の爪はしっかりしてるでしょ。

.

もう少ししたら、

きっとネイルも楽しめますよ。」

 

 

.

そう伝えると、

彼女はホッとしたように笑った。

 

 

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「よかった……私、

本当にネイル、してみたかったんです」

 

 

.

ネイルは、ただの飾りじゃない。

 

 

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「私はまだ、自分の人生を楽しんでいい」

――そんな自分への宣言なのです。

 

 

.

80歳、まだまだこれから。

美しく生きることを、諦めなくていい。

 

 

.

今日も、

ヘバーデン結節外来で治療する

女医の日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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