「努力すれば、誰でも夢は叶う」—​この言葉を信じて頑張ってきた方も多いでしょう。

 

​しかし、行動遺伝学の第一人者である安藤寿康先生は、​『日本人の9割が知らない遺伝の真実』の中で、​学力や知能、性格などにおける遺伝の影響の大きさを明らかにしています。​



 

遺伝が学力や性格に与える影響

 


安藤先生の研究によれば、学力や知能指数(IQ)は約50〜80%が遺伝によって説明されるとされています。

 

​また、性格の要素である勤勉性や協調性なども、約50%が遺伝の影響を受けるとのことです。​

 

つまり、同じ環境で育ったとしても、遺伝的な要因によって個人差が生じるのです。​



努力だけでは乗り越えられない壁

 


このような事実は、「努力すれば何でもできる」という考え方に疑問を投げかけます。

 

​もちろん、努力は重要ですが、遺伝的な素質によって到達できる限界があることも理解する必要があります。​

 

例えば、同じ勉強時間を費やしても、ある人は難関大学に合格し、別の人はそうでない場合があります。

 

​これは、努力の差だけでなく、遺伝的な要因も関係しているのです。​



自分の特性を理解し、適切な目標を設定する

 


では、遺伝が全てを決めるのでしょうか?​安藤先生は、遺伝的な素質を理解し、自分に合った目標を設定することの重要性を説いています。​

 

例えば、社交的な性格の人が営業職に向いているように、自分の特性に合った分野で努力することで、より良い成果が得られる可能性が高まります。​



教育の役割と限界

 


教育は、遺伝的な素質を引き出す手助けをする役割を担っています。

 

​しかし、教育だけで全ての人が同じ成果を上げることは難しいのが現実です。

 

​安藤先生は、教育の効果を過大評価せず、個々の遺伝的な特性を考慮した教育の必要性を指摘しています。​


「努力すれば夢は叶う」という考え方は、すべての人に当てはまるわけではありません。

 

​遺伝的な要因が学力や性格に大きな影響を与えることを理解し、自分の特性に合った目標を設定することが、より現実的で効果的なアプローチと言えるでしょう。