【読書と技術士勉強25】行動科学が教える目標達成のルール | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、宅建士、電験三種等に合格。

技術士試験に合格するためには、問題文を理解して、解答を作る必要があります。

読解力と文章力をレベルアップするためには、読書が必要です。

また、技術士として活躍するためには、専門技術に関する知識だけではなく、思考力、説明力やコミュニケーション、リーダーシップ等が必要です。

継続研鑽でこうした総合力を身に付けるためには、読書が必要不可欠です。

読書を技術士の勉強に活かすという観点でビジネス書を紹介しています。

 

●行動科学が教える目標達成のルール

第1章 目標設定
第2章 プランニング
第3章 コミットメント
第4章 報酬
第5章 共有
第6章 フィードバック
第7章 あきらめない

 

 

 

●目標を1つに絞る

目標設定の際、3~5個ぐらいの目標を掲げます。

目標を多く設定すると、頑張っている感じがするからです。

イメージ重視です。

また、複数の目標を設定すれば、どれか1つは達成できる可能性が高まります。

保険重視です。

しかしながら、目標を複数設定すると、逆に、達成できなくなるそうです。

これは行動科学に基づく知見です。

目標が多いと、あれもこれもやってしまい、結果的にどれも達成できなくなるのだそうです。

真に重要な目標に絞って、1つに集中した方が達成する可能性は高いわけです。

もちろん、目標が複数設定することは悪いことではありません。

ただし、最大の目標を1つ目に掲げてこれを達成した上で、次の目標に移行した方が目標達成率が高くなるというわけです。

 

●トリガーを作る

学校では、校内でチャイムが鳴ります。

チャイムが鳴ったら、授業が始まります。

学生たちは、チャイムの音が心理的トリガーになって、チャイムが鳴ったら集中して勉強しているわけです。

自宅学習も一緒です。

勉強する前に、何らかの儀式を設けます。

儀式が心理的トリガーになって、その後以降、集中することができるというわけです。

儀式は、音楽を聴くでもいいです。何か頑張る前のテーマソングです。

コーヒーや紅茶を飲むでもいいです。

ラジオ体操をするでもいいです。

勉強する前にやることを決めて、これを儀式にするわけです。

こうした儀式が、脳内に浸透すれば、それが心理的トリガーになり、集中力がアップします。

 

技術士試験の勉強にも活かせますね。


●1万時間の法則

1万時間の法則というものがあります。

これはドイツの心理学者のアンダース・エリクソン教授が提唱したものです。
エリクソン教授は、音大の学生の練習時間を調査しました。

その結果、優秀なバイオリニストは、20歳になるまでに平均1万時間の練習をしていたそうです。

これにより、プロになるためには1万時間が必要だとういう法則を打ち立て、これが有名になりました。

1日8時間鍛錬するとします。

1万時間を8時間で割ると1,250日になります。

土日祝日以外の平日は、1年間に約250日あります。

1,250日÷250=5年

つまり、10代~20代で、5年間頑張っていれば、その道のプロになれるというわけです。

これが1万時間の法則です。

この話は、別の書籍で読んで知ったものですが、なるほどなぁっと思いました。


しかしながら、この話には続きがあります。

この書籍では、1万時間の法則を否定しています。

アンダース・エリクソン教授の話の根拠を調査したそうです。

すると、20代で花咲いた優秀なバイオリニストが、平均で1万時間の練習をしていただけだったことが分かりました。

天才的なバイオリニストはもっと練習時間が短く、逆に、1万時間以上の練習でも、才能が開花しなかったバイオリニストもいました。

また、国際的な音楽コンテストの優秀者は、30代が中心で、調査の結果、2万時間以上の練習をしていたそうです。

1万時間の法則は、特定の条件で成立する相関関係を示したにすぎないようです。

この法則を、他の事象に当てはめても上手くいかないわけです。

 

1万時間の法則は知っていましたが、この話は知らなかったですね。

 

●技術士の勉強時間

技術士試験に合格するための勉強時間をネット検索しました。

その結果、合格には最短1,000~最長1,400時間必要という記事を発見することできました。

1次試験が400時間、2次試験が600~1,000時間という内訳です。

 

これで、1,000時間でプロフェッショナルというには、さすがに短すぎます。

そこで、先ほどの1万時間の法則を適用するとどうなるか?

プロのエンジニアになるために、1万時間が必要ならば、技術士になってから9,000時間の勉強が必要になります。

そうなると、継続研鑽が重要になります。

ただし、9,000時間のCPDを確保するのは容易ではありません。

CPDのみではなく、技術士として勤務している時間も研鑽にカウントするとどうなるか?

技術試験合格後、4年でクリアできます。

さらに、ビジネス書を通じた独学、別の資格試験への挑戦等、プライベートで自己研鑽すれば、3年くらいでクリアできます。

頑張って働きながら自己研鑽すれば、3年で一人前のエンジニアになる、これは現実的だと思います。

 

先述した通り、1万時間の法則は、科学的根拠に欠けているようです。

しかしながら、資格試験の合格がゴールではなく、これを通過点として継続研鑽の必要性を説く上で、1万時間の法則は良い話だと思いましたね。

 

※このシリーズの1つ前を見たい方は こちら をどうぞ。

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